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占い師だった頃、クライアント(相談者)に教わった運命の選択とは

 







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今でも、時に昔のクライアント(相談者)から依頼されれば、お会いして占いカウンセリングをしたりしますが、お店で、毎日たくさん相談者が、来られていた時などは、色んな体験をしました。

その中でも、特に印象に残っている体験談を、今回はお話したいと思います。

目次

昔、占い師だった頃の体験談

老若男女、老いも若きも…と言えば、少し古い表現で、分かりにくかったかもしれませんが、本当に当時は、毎日いろんな方とお会いしていまして…そして、ただお会いして、世間話をするのではなく、その方の悩みなど、深いことがらについてお話する機会が多くありました。

様々な境遇、環境、性格、性別、年齢、職業…など、自分とは違った、色んな考え方を持つ人と出会える訳ですが…その経験の中で、カウンセリングをしている僕のほうが、結果的に教わることになったお話をします。

冒頭、口語文を用い、物語を読むスタイルにします。占いカウンセリングが、どのように行われているか?占い師の心理などを、合わせて感じていただければ嬉しいです。(笑)

占いカウンセリング

ある日、僕はいつものように、カウンセリング・スペースで、予約してくれたクライアントを待っていました。部屋はクライアントが落ち着けるように、少し照明を落とした、応接室のような造りで、四人掛けの古いソファーに、とは言っても、占いをする場所ですから、それなりの調度品と、香を焚いておりました。

予約時間の3分ほど前になると、カウンセリング・スペースから三間ほど離れた場所にある、入り口の扉が開き、その男性は、おもむろに入ってこられました。

占い師「あっ、いらっしゃい。予約された○○さんですか?」

相談者「はい。連絡した。○○です」

占い師「どうぞ、こちらへ、少し離れていますが、こちらへ来てお座り下さい」

相談者「あっ、はい…」

男はそう答えると、僕の座るカウンセリング・スペースまで来られました。僕が一瞥(いちべつ)すると、その男性は年のころなら40代前半、身なりは整っているが、少し生活感が出ていて、やつれた感じ。普通のサラリーマンには見えず、第一印象と、受け答えから、何かサービス業をされている印象でした。

占いに、来られるクライアントの8割以上は女性で、相談内容も恋愛、人間関係などが中心ですが、男性の…しかも中年の相談者となると、人生の転機に関わる大きな相談事の可能性もあります。

占い師「はじめまして。僕の事は、誰かに紹介してもらったんですか?」

男が椅子に座ると、僕は名刺を差し出しながら話はじめました。

相談者「今、一緒に住んでる  ”これ”  が、前に一度、先生のお世話になったそうで」

占い師「そうですか。よそろくお伝え下さい。じゃ、僕の占いカウンセリングの方法などは、お聞きになりましたか?」

男はうなずいて答えてくれましたが、僕はいつものルーティーンの要領で、占術、カウンセリング時間、カウンセリング料金と延長料を伝え、占いカウンセリングに入りました。

カウンセリング内容の説明が終わるか終わらないかのタイミングで、突然、男は顔を上げて、僕に聞いてきました。

相談者「先生、運命って、俺にはどうすることも、できないんですかね…」

この時、僕は、この男の言っている  ”運命”  とは、人生という意味だと感じました。それまでの経験から、これからの未来が不安だ…と言っているのかもしれません。  ”宿命と運命の違い”  などという説明をするのではなく、男性の過去の話に耳を傾けることにしました。

宿命と運命の違いについて知りたい方は、以前書きました…宿命と運命のちがい…をご覧下さい。

占い師「いったい、何があったんですか?」

相談者「ええ、実は俺、元船乗りだったんですか…」

ある船乗だった男の話

ここからは、口語文では長くなるので、いつもの文章スタイルに戻します。

相談者の話を聞いてみると、男性は昔、貨物船の航海士だったそうです。東京湾を起点として、日本全国へ輸送していて、一番多かった航海は北海道への輸送でした。

天候にも影響されますが、行く先々の港に寄港しながら、3ヶ月間ほど航海を続け、その後の1ヶ月間は休暇というライフ・サイクルだったそうです。そして男性の夢は、もちろん  ”世界を股に駆けた”  海外の航海士になり、見果てぬ夢は、国際船の船長になることだった…と少し気恥ずかしそうに話してくれました。

運命の選択

そんな男を夢を叶えるために必要なもの。それは乗船する船や航海の距離に合わせた、航海免許の取得です。しかし、当時勤めていた、国内の海運会社は男の免許取得に協力的でなく、また時悪くして、地元香川で農業をしていた父親が大病を患ったこともあって、男は地元、瀬戸内の宇野と高松を結ぶ、連絡船(客船)の船員へと転職してしまいます。

運命の選択

しかし時はバブル期、本四連絡橋が次々と建設され、中でも香川と岡山を結ぶ瀬戸大橋が完成すると、連絡船の客足は鈍り、数年後には連絡船を運営する会社がリストラを始め、男はわずかばかりの退職金上乗せの条件を飲んで、退職を選択します。

運命の選択

その後、実家の農業を手伝いながら、それでも船乗りの夢を諦めたくなかった男は、小豆島と高松を結ぶ、小さなフェリー会社に就職。しかしこの選択も、5年後には男自身の選択によって、今、変わろうとしていました。それは、国際船舶の航海士という夢を、きっぱりと諦め、陸に上がってトラックの運転手か、タクシードライバーになろうというものでした。

そして男は今、僕の目の前に座り、占いカウンセリングを受けているのです。

ここからは、またカウンセリングの場面に戻ります。

ある男のカウンセリング

相談者「先生。俺はどこで、運命の選択を間違えんですかね」

占い師「○○さん。大変な人生を歩んでこられたと思います。もちろん人には宿命があって、その  ”さだめ”  の中でしか生きていくことはできません。しかし運命の選択は自由です。その選択に間違いはない…と僕は思います」

相談者「でも、俺は、夢が叶ってないんですよ…」

占い師「それも、あなたの選択です。でも、ここで僕が一言、付け加えるとしたら、今は…叶っていない…という事です」

相談者「いやいや、俺もう40(しじゅう)ですよ!そんなの無理に決まっているじゃないですか」

占い師「そうですが、それもまた、運命の選択です。別にあなたが、トラックやタクシーの運転手になることに、問題があるわけではありません。その選択が、運命だと感じるのであれば…正しい選択です」

相談者「結局、俺は…その宿命とやらが悪いから、夢が叶わないんじゃ…ないのか?」

占い師「はい。生まれながら宿命がよくて、何の選択もせずに、夢が叶う人は居ません。はた目にはそう見えるかも知れませんが、夢を叶えた人達は、何かしら苦しい運命の選択をしています」

相談者「だったら俺は、これから、どうすれば良いんだ」

占い師「一つは、宿命を受け入れること、そして今までの運命の選択を、誇りに思う事です。それには、何よりあなたが、航海士になる…という選択より、親孝行をする…という運命の選択をしたことです。その事に誇りを持つことです。そうすれば、再び、あなたに運命に選択の時…が訪れると思いますよ」

男は、僕の話にしばらく考えてから答えた。

相談者「…先生。何だか、少し…分かった気がした。結局、人は宿命の中でしか、生きられねぇ。でも、その中だったら、自由に選択できるんだ。そしてその、運命の選択とやらは…他人や環境のせいじゃなく、俺自身の生き方って事だな!」

男は、それまでうつむき加減だった顔を上げて言った。この時の男の  ”晴れやかな顔”  を、僕は今でも忘れない。

今回のまとめ

今回は、少し新しい試みで小説スタイルで書いてみました(笑)実際のカウンセリングはもう少し時間をかけて行いましたが、みなさんはどう感じられましたか?

その後、男と二度と会うことはありませんでしたが、占いカウンセリングとは  ”一期一会”  です。その後、彼が形を変えて航海士に再びチャレンジしたのか?また、まったく違う仕事を選択したのか?…知る由もありませんが、きっと、その選択を誇りに思ってくれたと信じています

今回もまた、長い記事になってしまいましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございます。

今日も、みなさんに幸せが訪れますように…Ryusho

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